Master Thesis Abstract (in Japanese)
修士論文要旨

キーワード関連と物理的近さを反映したP2Pネットワーク

相田 貴史
2005年2月

P2Pは,従来のクライアント・サーバモデルとは対照的に,特定のサーバに依存せず自律的に動作するノードの集合として形成されるネットワークである.耐故障性に優れ,サーバへの負荷集中に起因するボトルネックを解消できる等の利点から,近年ではファイル共有や分散データベース等への応用に関心が高まっている.P2Pは,コンテンツの検索の方法から,ハイブリッドP2PとピュアP2Pとに大別される.本研究の対象とするのは後者であり,実装の例としてGnutellaがあげられるが,特に次のような問題点が指摘されている.

  1. ピュアP2Pでは,検索パケットをブロードキャストすることによってコンテンツを発見するため,ネットワークにかかる負荷が大きい.それゆえ,より少ない手数で多くのコンテンツを発見するための方法が必要となる.
  2. 一般にP2Pにおいて,各ノードは既存の物理ネットワーク接続にとらわれない論理的なリンクを確立し,このオーバーレイネットワーク上で情報の検索と伝達を行う.しかし,この論理的なリンクは必ずしも実際の物理ネットワークのトポロジーを反映しておらず,情報の検索・伝達は必ずしも効率的でない.

本研究では,これらの問題点に対して

  1. ピュアP2Pにおけるノード間の意味的なまとまり(クラスタ)を,パケットに含まれる検索キーワードによって検索動作と同時に構築し,あるノードの検索結果をそのまま他のノードが利用できるようにすること,
  2. 検索パケットの応答時間は,ネットワーク負荷やノードの負荷等の物理的な状況を強く反映していると考えて,各クラスタを構成するノード間のリンクを評価すること,

の2つの動作によって,キーワードによる結びつきと物理状況の反映されたP2Pネットワークを自律的に形成する方式を提案した.

さらに,本方式の有効性を検証するため,単一の計算機上で各ノードの動作をシミュレートするプログラムを作成した.その結果,ピュアP2Pに比べ,本方式によれば時間の経過とともに余分なブロードキャストが減少してネットワークトラフィックの増大が抑えられ,かつより物理的に近い位置に存在するコンテンツを発見できることが示された.


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