Doctor Thesis Abstract (in Japanese)
博士論文要旨

システムレベル設計の制御システムへの応用に関する研究

小林 憲貴
2007年3月

SWとHWが協調で動作するSystem-on-Chip設計において,SWとHWの仕様の食い違いや,HW設計の抽象度の低さといった原因から,設計効率が問題となっていた.この問題点を解決すべく,システムレベル設計という設計方法論が考案された.システムレベル設計とは,SWとHWの区別がない統合仕様から設計が開始され,統合されたシステムを段階的に詳細化する方法論である.これにより,SoC設計における設計効率の問題が解決された.

このシステムレベル設計の "統合仕様からの設計の開始","段階的詳細化","機能と通信を切り分けた設計" という特徴は,SoC設計のみならず,他の分野に対しても有効であると考えられる.しかし,システムレベル設計はSoC設計にのみ焦点を当てた設計方法論であるため,他の分野に応用が可能であるか検証する必要がある.

そこで,制御システムとそのシステム間の通信に対して,システムレベル設計の応用を検証する.制御システムは,SoCと類似性が高く,設計の抽象度は従来のSoC設計と同程度であるため,設計効率の向上が望まれている分野である.システムとしての類似性が高いため,システムレベル設計の応用が,他の分野と比べて容易であると考えられ,また,設計抽象度も従来のSoC設計と同程度であることから,システムレベル設計による設計効率の向上が期待できる分野である.システム間の通信は,大規模なシステムにおいて必要不可欠なものであるが,システムの複雑化が進む現在では,通信の設計もまた複雑化し,設計効率の向上が望まれている.システムレベル設計の "機能と通信を切り分けた設計" という特徴から,機能とは独立に通信の段階的詳細化が可能であるため,通信の設計においてもシステムレベル設計が有効であると考えられる.

はじめに,制御システムへの応用について検証する.ここでは,制御システムの一つであるシーケンス制御システムに対して,システムレベル設計を応用する.シーケンス制御システムは,制御を行うSWであるLadder DiagramとそのSWの実行環境であるProgrammable Logic Controllerによって制御される.そこで,本研究では,このLadder DiagramとProgrammable Logic Controllerの段階的詳細化を行う.SoCとシーケンス制御システムの違いを洗い出し,その違いに対して,システムレベル設計で対応する設計手法を提案する.

また,設計効率の向上度合いについて,シーケンス制御システムの設計抽象度が従来のSoC設計と同程度であるため,SoC設計でのシステムレベル設計による設計効率の向上度合いと同程度だと予想される.

次に,通信設計への応用について検証する.ここでは,はじめにシステムレベル設計による通信設計の問題点を示し,その問題点を解決するために二つ概念を提案する.次に,提案した概念の一つについて具体的な設計手法を示す.

制御システムへの応用については,実際のシーケンス制御システムの設計を例に,提案手法の説明を行う.また,通信設計への応用については,通信システムの中で大きな分野である車載制御ネットワークの設計例を示す.


論文題目一覧